「災害の多いアジアに於ける日本の役割」
久保田 厚史
亜細亜大学 国際関係学部 国際関係学科 3年
今回の会議では、私達が考えている以上に日本とアジアの連携が密接で、それをアジア・太平洋の国々が求めている、という事が明らかに示された。
今まで日本は先進国として、開発途上国や被災地などへ支援をしてきた。その日本が支援をされるという新たな立場になった。日本とアジアの関係はどう考えるべきであろうか。
日本の大震災に於いて世界各国から支援を受けた事で、我々は日本のプレゼンスが高く、今まで行ってきた支援や培ってきた友情が生きているという事を知る事が出来た。その事はニュージーランドが自らも被災しながら、救援をした事を見ても分かる。
韓国の尹徳敏氏は、日本が今まで以上に内向的になる事を懸念していた。日本人が若者を含め、内向きになっている事は否定できないが、アジアを含め海外から支援を受けた事で、外に目を向けてかなければならない事を多くの人が認識したと思う。
中国は今回参加していない。これは毎年欠かさず出席している東南アジアのマレーシアやシンガポールが日本との連携を必要としている事に対し、中国はGDPで日本を抜き、地域の大国として、独自性を強く意識しているためと思われる。日本はこの会議を開催しているように、今まで培ってきた他国との関係、協調性のある国民性を生かし、調整役として今後もアジアをまとめる立場で、大国ではなく、アジアの一員としての役割を担っていく事がアジア、更には世界の中で求められていくと思う。
日本は明治維新で開国を実現したように、外を向いて立ち位置を確認し、アジアの仲間達と歩んでいく方法を積極的に取っていくべきであろう。
具体的にどうすればいいのか。近年ODA予算が削減されている。更に、日本の財政悪化や震災の影響でますます他の国への支援をする余力が無くなっている。私は支出財政の効率化を進める事により、ODAは削減すべきでは無いと考える。ODAの中の緊急援助の比率を高める事が必要であると感じる。近年アジアの災害は多く発生しているが、防災や緊急対応が遅れていて、被害が拡大する事が見られる。そこで、日本の復興の経験を生かし、アジアの国々とその経験と技術を共有し、援助をしていく事が今後アジアの中での日本の存在感を高め、アジアに貢献できると思う。
日本が21世紀のアジアの中で存在を主張していくには、外に目を向け、アジアの中での調整役としてのプレゼンスを発揮し、優れた防災などの技術や緊急対応力で、アジアに貢献していく事が、よりよい未来を開くと感じた。
今後も災害は起きるであろうし、関係が緊張する事もあるだろうが、今回の震災と日本への各国の支援という貴重な経験を踏まえ、アジア各国との連携をとり、今後のアジアの統合を進め、世界の成長の中心として大きなプレゼンスを築き上げられるよう、揺るぎない連携、協調をしていかなければならない。