マルコム・ブライ・ターンブル
2015年から2018年までオーストラリア首相(自由党党首)を務めた。任期中、大胆な経済成長策を実行し、個人税や法人税を削減。記録的な雇用拡大を導いた。
日本の安倍晋三首相と共に、米国が離脱した後のTPP(環太平洋パートナーシップ)協定を推進する主導的役割を果たした。数兆ドル相当の貿易協定であり、加盟国が市場を一段と開放するTPP11を安倍氏らと共につくり上げた。
ターンブル政権はまた、海上軍事力の近代化に乗り出し、海軍と沿岸警備隊向けに54隻の艦艇の新造を承認した。
ターンブル氏はエネルギーの貯蔵などエネルギー問題に強い関心を持つ。不安定な再生可能エネルギーを信頼できる電源にするため、大容量の蓄電設備の必要性を認識し、南半球で最大の水力発電事業「Snowy Hydro 2.0」の建設を決めた。
50歳で政界入りする前は、実業界や法曹界、ジャーナリズムで成功を収めた。
弁護士としては「スパイキャッチャー」裁判で、英政府を相手に英情報機関MI5のエージェントだったピーター・ライト氏の弁護に成功した。
実業界では1987年に投資銀行を設立し、メディアやテクノロジー産業の知見を深めた。ルパート・マードック氏らメディア界の有力者と共に働き、自らも多くの事業を立ち上げた。
豪州で最初の大規模なインターネット企業となったOzEmailを共同設立し、1996年に米ナスダックに上場、3年後にワールドコムに売却した。
1997年にゴールドマン・サックスに入り、翌年パートナーに就任。政界入りするまで4年にわたり豪州事業を統括した。
2004年に政界入り後は、環境・水資源相、通信相を歴任し、2015年に首相に就任した。
ターンブル氏はローズ奨学生としてオックスフォード大学で学んだ。